H3ロケット打ち上げおめでとうございます
ほんとうによかったです。
去年、貴重な衛星をダメにしてしまったときは絶望していたんですが、本当に多くの皆さんのおかげでテスト打ち上げが成功して、「そうか、そうか ──!」という心持ちです。
ライブ配信の最後は、映画風にたくさんの関係者を挙げる映像の演出があり、とてもグッときました。ちょっと涙しました。
もしこれ打ち上げがうまくいかず途中で止まったりしたときでも、きっと流していたんでしょうね。昨年の打ち上げ処理中断の際に、愚かな記者が失敗だなんだと酷いニュースを流そうとしていましたが、最終的にオペレーションがどこまで予定通りにいくかにかかわらず、本当にたくさんの人たちが血と汗と涙を注いでこのプロジェクトを進めて打ち立ててきたのだと、その事実をたくさんの国民に知ってもらい、みんなに応援してもらいたい。その強い意志を感じました。
エンドロールの「Special thanks」がこれほど心を込めて語りかけられることはそうそうない。そう思わされました。
その一方で、私の心の一部では、アラートも上がっていました。
いうなれば「乗っかりナショナリズム」になってはいないだろうか、ということです。オリンピックやワールドカップ、WBCでもありましたが、安易に「{任意の自分が所属する属性}代表への自己同一化」をすることの危険性、というものがあります。私は、頑張ってきたJAXAや関係各所のプロジェクトチームの一員ではない。
ただまあ、たんに冷めて斜に構えていればいいのかというと、そうではないと思います。もし私にいま小さい子供がいるならば、きっと「すごいねぇ! たくさんの技術者の人たちが頑張ったんだねぇ! 〇〇ちゃんも宇宙に行けるかなぁ!?」と笑顔で伝えていたと思うし、そんな自分でありたいと思います。
未来への希望、夢、たくさんの努力の結晶による達成、それによる笑顔と前進。それの根源的な歓びを、私たちは大切にするべきだ。その歓びを子供たちに伝えなきゃいけないし、それの小さな一助になることを目指すのがカッコイイって生き方で伝えなきゃいけない。私はそう思います。
乗っかりナショナリズムの影響は、ひとまず今のところ、私はきっと大丈夫だと思います。なぜなら、あのエンドロールに私の名前が無いことに、一人で勝手に悔しさを感じているので。